施工事例
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外壁が落ちた!下地を2種類の板で丁寧に補修・塗装して元通り! 藤井寺市
2022.03.03
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大阪府藤井寺市にお住まいのT様より、「突然ものすごい音がして、慌てて外に出たら家の外壁が落ちていました。他の場所も剥がれたり・膨れたりしていて、危ないです……!」と、お問い合わせがありました。
さっそく、現場の確認に伺わせていただきました。
幸いにも、モルタル外壁が剥がれ落ちた当時、落下箇所であるガレージには、車は停まっていなかったそうです。
もし停まっていたら、車やその中に乗っている人に、大きな被害が及んだことでしょう。
連絡いただいたのは年末で、工事は年が明けてからでないと、着手できない状況でした。
しかし、またいつ落ちてもおかしくない外壁をむき出しにして、年を越すのは不安です。
というわけで、透湿シートを養生目的で外壁にはり、剥がれ落ちた箇所からのさらなる剥落(はくらく)を防ぎます。
さらに、外壁のまわりを仮設足場・シートで囲い、ガレージ側へ破片が落ちないようにしました。
また、外壁が落ちた時の衝撃で、お家のテレビのアンテナ線が抜けてしまったようで、テレビが映らず大変お困りだったので、足場を組むついでに接続処理を施しました。
ここまでを年末にやり、落ちた外壁の補修工事は年明けから行います。
基本情報
- 費用
- 約70万円
- 工期
- 約2週間 約25人工
施工内容
- 既存のモルタル外壁を剥がす
- 下地に補強材(ベニヤボード)をはる
- 透湿防水シートをはる
- ラスカットボードをはる
- ラスカットボードのジョイント部をシーリング&樹脂モルタル処理
- 下地調整材~下地材(微弾性フィラー)を塗る
- 水性シリコン樹脂の下塗り材~上塗り材を塗る
- 雨どいの修理
- 庇にサビ止め材などを塗装
落ちた外壁の補修・塗装工事の流れ
では以下で、落ちた外壁を下地から丁寧に補修する過程を、順を追って紹介していきます。
ちなみに、今回補修・塗装を行う外壁の面積は、約50㎡です。
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既存のモルタル外壁を剥がす
まずは、残っているモルタル外壁を、手作業で剥がしていきました。
外壁にはたくさんクラック(ヒビ割れ)が入っていて、不安定な状態なので、変に当たると大きな塊で落ちてくる危険性があります。
これを防ぐため、「グランダー」と呼ばれる電動のカッターのような工具で、外壁を切り離しながら、剥がし作業を進めていきます。
外壁の破片の大きさは、危険が少なくまとめやすい30~60cm角くらいで、すべて収めたイメージです。
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下地に補強材(ベニヤボード)をはる
既存のモルタルを、綺麗に剥がし終えました。
横向きに打ち付けてある、細長の板のことを「バラ板」とよびます。
バラ板の状態について、“モルタルの劣化が激しかったのでどうかな……?”と思いましたが、幸いにも状態は綺麗で、下地そのもののやり替えからする必要はなさそうです。
ただ、下地が「バラ板」状態のままでは、家にかかる“揺れ”を緩衝しにくい(=外壁に揺れが伝わってクラックが再発生、また落ちてしまうかも)と判断して、工程を1つ加えることにしました。
加えた工程とは、後述する「ラスカットボード」の施工の前に、補強として1枚ベニヤボードを入れておくことです。
これまでのように「横線いっぱい」の下地で揺れを受けるのではなく、「広い面」の下地で揺れを受けるようにすることで、外壁に局所的な負荷をかけず、クラック発生⇒落下のリスクを抑えます。
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透湿防水シートをはる
透湿・防水・防風機能などを備えた、透湿防水シートを施工しました。
ちなみに、昔の木造住宅では、バラ板にアスファルトルーフィングシートを施工することが多かったようです。
(今回のお家もそうで、工事前のモルタルの下にはられていました。)
しかし、気密性が高くなった現代の木造住宅では、防水性だけではなく結露対策も重視する必要があるために、透湿防水シートを使います。
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ラスカットボードをはる
透湿防水シートをはり終えたら、ラスカットボードを取り付けていきます。
ラスカットボードは、水平向きの力に強いモルタル下地材です。
下地補強材 ⇒ 透湿防水シート ⇒ ラスカットボードを経ると、後に行う塗装が薄く済みます。
モルタル上の塗装が薄くなる、すなわち軽くなることは、今後の外壁の剥落(はくらく)を防ぐために重要なことです。
軽い物よりも重たい物のほうが落ちやすく、落ちた時に危ないのは当然ですよね。今回の外壁補修では、ここが大きく改善されています。
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ラスカットボードのジョイント部をシーリング&樹脂モルタル処理
ラスカットボードのジョイント部は、シーリングで綺麗に隙間埋めを行います。
そして、シーリングだけでは柔らかすぎて、揺れでラスカットボードが動いてしまうので、より硬い素材である樹脂モルタルで、「カチッ!」と固めます。
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下地調整材~下地材(微弾性フィラー)を塗る
ラスカットボードの施工が完了したら、まずは下地調整剤を塗布しました。
そして、「微弾性フィラー」という、塗膜に弾性を持たせる働きがある下地材を、まんべんなく塗布しました。
カチッと固めたボードの上に、弾性が強い下地材を塗る。
“揺れの力”を緩衝するには、「柔らかい物を硬い物で固める」「硬い物を柔らかい物で覆う」といった様々な性質の層の重なりが、重要なポイントとなります。
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水性シリコン樹脂の下塗り材~上塗り材を塗る
仕上げの段階である塗装は、水性シリコン樹脂塗料で行いました。
上の写真は、シリコン樹脂塗料の下塗りをしている様子。
最後の上塗りも、ムラがないよう丁寧に塗り上げます。
これで、大きく剥がれ落ちた外壁は、綺麗に直りました!
他にも少し補修箇所があるので、続けて簡単にご紹介します。
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水性シリコン樹脂の下塗り材~上塗り材を塗る
お問い合わせをいただいた段階で、雨どいの一部が落ちて無くなっていました。
雨どいがないと、雨水がそのまま外壁を伝って落ちて、せっかく新しくした外壁がすぐ劣化してしまうので、新しく雨どいを取り付けます。
まずは、雨どいをのせるための、U字型の金具を取り付け。
そして、新しい雨どいを取り付けました。
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庇(ひさし)にサビ止め材などを塗装
金属製の庇(ひさし)は、まず表面の汚れなどをやすりがけで落とし、凹凸を整えました。これがよくいう「ケレンがけ」です。
その後、サビの発生を防ぐためのサビ止め材を塗布し、金属系の下地と相性がよいウレタン樹脂塗料で、塗装を仕上げています。
まとめ
今回のお客様は、ウェブサイトを見てくださっていて、外壁補修にあたりどんな作業を行うのか、結構広くご存じでした。
改めて、“下地から丁寧に補修していく”今回の工法の説明をした折には、一層安心感を強めてくださったようです。工事の仕上がりにも、大変満足してくださいました。
さて、今回のように古いモルタル外壁は、目に見えないものも含めて多数のクラックが蓄積するうち、ある日突然落ちてしまうことが、ままあります。
大きな破片が人に直撃すれば、命にもかかわる大事故となってしまうでしょう。
自身や周りの人の安全のためにも、モルタル外壁のクラックは、なるべく早くプロに依頼して、検査・補修・塗装をしてもらうことを、おすすめします。
モルタル外壁の補修や塗装を行うなら、実績豊富な『ヤマナミ』にお任せください!