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増改築ですき間が多い築50年のビルの屋上から雨漏り!防水や注入で対策 大阪市北区

2025.08.30

増改築ですき間が多い築50年のビルの屋上から雨漏り!防水や注入で対策 大阪市北区
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地域   :大阪市北区
建物の種類:RC造3階建てビル
築年数  :約50年
工事の種類:防水・止水・注入・塗装・内装等
施工箇所 :屋上廻り・3階天井部等
施工範囲 :屋上約60㎡ 3階3箇所程度

基本情報

費用
約70万円
工期
約10日間

施工内容

  1. 施工前の状況確認
  2. 天井漏水被害部分の捲(めく)りと養生
  3. 屋上正面取り合い部にシーリング
  4. 排水溝周辺・屋上架台部のはつり
  5. 改修用ドレーンの取り付け
  6. 屋上防水層に水反応型注入材を充填
  7. パラペット部防水材塗布
  8. 屋上部に防水材塗布
  9. 天井ボード部分の補修

以前より防水工事や他の物件でお世話になっている、T社様の社屋を施工させていただいた事例です。

T社様のビルは、弊社ヤマナミが10年前に防水工事を施工させていただきました。

3階のワンフロアになっているうちの3か所で、天井部に漏水による破損があるということで現地調査をいたしました。

防水工事から10年で漏水とは期間が短いのですが、調査の結果、原因は防水ではなく増築を繰り返していることによって発生している様々な部分のすき間です。
様々な部分で増築したことですき間が多く、10年前にも、防水工事を施工しても100%の防水にならないことをお伝えしていました。

まずは漏水箇所を確認して止水セメント処理を施し、屋上廻りの防水や注入、天井材の張り直しを行いました。

1.施工前の状況確認

漏水の原因となっているビル屋上を確認すると、床面とパラペット部分の境目など、2つの面が内側に入り込む入隅部(いりすみぶ)で防水層の膨れている個所が見られます。

3階の天井で漏水被害が出ている個所や点検口から天井裏を確認したところ、漏水の跡が見られます。

屋上からの漏水で、写真のように天井材が剥がれてしまっている状態です。

写真は天井裏のコンクリート部分です。白っぽい付着物「エフロレッセンス」が出ていて、漏水の被害が確認できます。

コンクリートの成分には可溶性のものがあり、それが外へ溶けだすと、水分が蒸発して濃縮されます。
そして空気中の炭酸ガスと結合することで、コンクリートの表面で白い付着物となってしまうのです。

つまりエフロレッセンスがある=建物の内部に雨水が侵入しているというサインとなります。

階段部にもエフロレッセンスがありました。
階段の床面(踏面)や立ち上がり部分(蹴込)から発生しています。

2.天井漏水被害部分の捲(めく)りと養生

あとで本格的に張替ますが、屋上の防水工事が完了するまで、漏水被害の大きい箇所だけ撤去して養生します。

3.屋上正面取り合い部にシーリング

外壁には会社の看板が設置されており、看板と外壁の間には写真のような目地があります。
タイル張りになっている外壁のすき間からも、雨水が建物内部に侵入してきたようです。

屋上正面部には目地がありますが、元々この部分はシーリングが施行されていません。
そのため、新たにシーリングを施工しました。

上記の写真がシーリング施工後の状態です。
これで目地からの雨水侵入を防ぐことができます。

4.排水溝周辺・屋上架台部のはつり

屋上の排水溝周辺をはつって、コンクリート部分を除去しているところです。

既存の排水溝は中で一度下がっているタイプで、中で雨水が溜まってしまいます。
この点も雨漏りの原因の1つとなっています。

そこで今回は特注の「改修用ドレーン」を設置して、中で一度下がっている部分も含めて一気に雨水を通せるようにしました。
この改修用ドレーンはジャバラのホース部分が一般的なものより長く、一気に雨水を外に排出できる優れものです。

便利な改修用ドレーンですが、今回の排水溝ではスペースが足りません。
そのためコンクリートをはつって、スペースを確保しています。

排水溝のすぐ横には、使用していない架台がありました。

この架台は排水の邪魔にもなっていて、手前に水が溜まっている状態です。
防水上よろしくないので、こちらを撤去しているところです。

5.改修用ドレーンの取り付け

こちらが特注の改修用ドレーンです。
ドレーンは全部で3か所取り付けていきます。

2個目の改修用ドレーンを取り付けたところです。

3個目の改修用ドレーンです。
このドレーンは下がっている部分がなく、雨が降っても雨水が溜まりません。

6.屋上防水層に水反応型注入材

こちらは屋上の防水層が膨れている部分です。

防水層をめくると、写真のように内部に溜まっている水が出てきました。

屋上の防水層には「水反応型注入材」を注入するので、注入口をあけているところです。
10cm程度のピッチで穴を開けていきます。

穴をあけた後は、ブロアでカスやゴミを除去します。

水に反応して膨らむ「水反応型注入材」を充填しているところです。
初日にまず水反応型注入材を注入したら、翌日漏水が発生している個所を確認して、そこに新たに注入します。

さらに翌日にも漏水部分を確認して注入を繰り返し、3日ほど注入→漏水部分のチェックを繰り返し、水が止まるところまで実施しました。

屋上の防水層に水反応型注入材を注入し終わったところです。

7.パラペット部防水材塗布

パラペット部は、防水材を塗布する前にプライマーを塗布します。

1度目の防水材を塗布しているところです。
防水材は2度塗りしていきます。

防水材の2層目を塗布しているところです。

元が塗装仕上げだったので、同じように塗装仕上げていきます。

パラペット部分の防水工事が完了したところです。
こちらのビルは、パラペットに段差があるタイプとなっています。

8. 屋上部に防水材塗布

屋上部分もパラペットと同じように、プライマーを塗布したあと防水材を2層塗布しました。
防水材はポリマー防水を使用して、仕上げはポリマートップで仕上げています。

屋上部分の防水工事も仕上がりました。
屋上には室外機が設置されているので、室外機を一度移動させて下の部分もしっかり実施しています。

9. 天井ボード部分の補修

最初の部分で養生していた、天井ボード部分の補修です。

屋上の防水工事が終わり、雨漏りがないことが確認できたので天井ボードを張り替えていきます。
漏水でシミができているところを目視で確認して、写真のように1枚ずつ張り替えています。

天井の止水処理をしているところです。
こちらは止水セメントを使って処理しています。

天井の点検口を取りつけているところです。
1つは既存のものですが、もう1つは新たに設置しました。

仕上がりはこのようになります。

以上で工事は完了です。

まとめ

工事の結果、無事に雨漏りは止まりました。

10年前にさせていただいた防水工事と違い、今回は止水セメントや水反応型注入材を使用して防水工事をしており、依頼主様も安心されています。

水反応型注入材は3日間繰り返し、水漏れをしっかり止められるよう気を付けました。

増築部分が多いほどすき間が増えるので、防水工事をしても効果は100%にはなりません。
雨漏りのリスクが高いので、一度防水の専門業者に確認してもらうと安心です。

増改築を繰り返している建物は、防水工事をしても1度で止まらないこともあります。
考えられる原因がたくさんあるので、専門業者が1つずつ原因をつぶしていく必要があります。

⇒大阪市北区などでビルの防水工事を行うなら『ヤマナミ』にお任せください