施工事例
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エレベーターピット内で繰り返される漏水!複数の原因に対処して防水対策 天王寺区
2025.07.03


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after
地域 :天王寺区
建物の種類:鉄骨6階建て
築年数 :約35年
工事の種類:エレベーターピット内防水・路地防水・扉レール撥水材
施工箇所 :エレベーターピット内・路地・扉レール
作業人員 :約10人工
基本情報
- 費用
- 約50万円
- 工期
- 約4日間
施工内容
- 入口扉レール部に撥水材を塗布
- 路地基礎部にプライマー材を塗布
- 路地基礎部トップ材塗布
- エレベーターピット内の油分を除去
- エレベーターピット内の既存防水層捲り
- エレベーターピット内の漏水箇所に穴あけ
- 水反応型注入材を注入
- エレベーターピット内に基礎取り合い部等シール処理
- 止水処理
- エレベーターピット内に防水プライマー材を塗布
- エレベーターピット内に防水材を塗布
当社のホームページを見た会社の担当者様から、「鉄骨6階建ての社屋にて、エレベーターピット内に漏水がある」とお問い合わせをいただきました。
エレベーターピットとは、エレベーターの最下階の床面からカゴ下の空間部分のことです。
エレベーターピット内の漏水は数年前からあったようですが、溜まっては減り、減っては溜まって……と繰り返していました。
現地調査で、漏水のあるエレベーターピット内にはウレタン塗膜防水で塗膜防水が施された跡を確認しました。
ウレタン塗膜防水によって、一時期は止水していたと思われます。
しかし、本来ウレタン防水は屋上やバルコニー部に使われるものです。
背面からの圧力に弱く、エレベーターピット内への使用には向いていません。
エレベーターピット内への漏水の直接的な原因は、地下からの侵入と思われます。
そのほか、上の写真のようにエレベーターピット内の一部に扉のレールが入り込んでおり、レールに溜まった水がピット内に侵入したことも考えられます。
もとのレールが雨水侵入しやすい形状となっており、故障や劣化ではありません。
エレベーターピット内の漏水対策として、扉レールへの撥水処理や路地部への塗膜防水処理、エレベーターピット内の注入や止水・防水処理を提案して施工させていただくこととなりました。
エレベーターピット内にて扉レール付近のコンクリートの白化があり、ここからも雨水が侵入していることがわかりました。
さらにエレベーターピットの外壁側の路地にも防水上問題があり、ここからも雨水が侵入したようです。
1. 入口扉レール部に撥水材を塗布
まずはエレベーターの扉部分のレールに撥水材を塗布します。
防水ではなく、撥水性のある材料によって水をはじくようにしています。
2. 路地基礎部にプライマー材を塗布
路地基礎部分に防水加工を行います。
土間と立ち上がり部分に、ポリマーセメント系の防水材を塗布していきます。
防水材を二度塗りした状態です。
3. 路地基礎部トップ材塗布
最後に、トップ材を塗布して路地基礎部分は完了です。
上の画像のように、しっかり防水工事を行いました。
4. エレベーターピット内の油分を除去
上の画像はエレベーターピット内部に溜まった汚れです。
工事実施時に漏水した水はほとんど溜まっていませんでしたが、塗膜の裏に水が溜まっていました。
5. エレベーターピット内の既存防水層捲り
適切な防水を実施するために、以前に施されたウレタンの防水層をはつって(削り取って)撤去します。
まずは溜まっていた油分を除去します。
そして既存の防水層をはつります。
ウレタン材がなくなると、下の画像のように漏水していた水が流れてきました。
6. エレベーターピット内の漏水箇所に穴あけ
今回の防水工事では、「水反応型注入材」を使います。
漏水箇所に穴をあけ、注入するスペースを作っている段階です。
7. 水反応型注入材を注入
止水する注入材として、「水反応型注入材」を使います。
水に反応して発泡する(膨らむ)材料で、漏水の水に反応して穴をふさぐことができる注入材です。
今回の防水工事では、この水反応型注入材やシール、止水セメント、エレベーターピット用防水材といった方法を併用して止水作業を進めました。
水反応型注入材を混ぜ合わせているところです。
液剤を攪拌したら、下の画像のように注入していきます。
上の画像は、水反応型注入材が反応したところです。
このように液剤が膨らむことで隙間を塞ぎ、止水してくれます。
8.エレベーターピット内に基礎取り合い部等シール処理
基礎と壁の取り合い部分は、シール処理を施していきます。
9. 止水処理
上の画像は止水セメントを塗布しているところです。
止水セメントは全面ではなく、漏水部分だけ実施します。
10.エレベーターピット内に防水プライマー材を塗布
エレベーターピット内は、専用の防水プライマー材を塗布します。
11. エレベーターピット内に防水材を塗布
プライマー材を塗布したら、エレベーターピット内専用の防水材を塗布します。
防水材は2度塗りして、しっかり防水していきます。
上の画像のように、漏水を繰り返していたエレベーターピット内にしっかり防水工事を行いました。
上記で工事は完了です。
まとめ
工事後は漏水がとまり、お客様も喜んでくださいました。
今回の漏水は、エレベーターピット以外の路地やレールも原因になっていることをご説明し、納得していただけました。
ウレタン塗膜で対策した跡がありましたが、背面の圧に弱いためエレベータピットには不向きです。
止水材の注入や、止水セメント、そしてエレベータピット専用の防水材にて、しっかりと防水工事を実施しました。
エレベーターピット部分に一度でも水が溜まったことがあるなら早めに専門業者に見てもらい、工事しておくのがおすすめです。
放置するとエレベーターの金具やセンサーが濡れ、故障の原因につながることもあります。