施工事例
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5階建てビルの外壁・タイルの雨漏り補修!築40年鉄骨造 堺市中区
2025.07.22


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地域 :堺市中区
建物の種類:鉄骨4階建て
築年数 :約40年
工事の種類:シーリング・補修等
施工箇所 :外壁
施工範囲 :約650㎡
作業人員 :40人工
基本情報
- 費用
- 約150万円
- 工期
- 約2週間
施工内容
- ALC面破損部の「はつり」
- ALC面はつり部にプライマー材塗布
- ALC面破損部樹脂モルタル成形処理
- ALCサッシ廻り部既存シーリング撤去
- ALC面サッシ廻り部プライマー材塗布
- ALC面サッシ廻り部シーリング材充填
- ALC面サッシ廻り部シーリング仕上がり
- タイル面目地部既存シーリング撤去
- タイル面目地部シーリング仕上げ
- タイル面浮き部マーキング
- タイル面浮き部穴あけ
- タイル面注入口ブロアー処理
- タイル面浮き部注入
- タイル面注入口ステンレスピン挿入
- タイル面注入口目地セメント処理
- タイル面のマーキング・補修
前回ご紹介した事例「5階建てビルのドーム状屋根の補修・防水工事!築40年鉄骨造 堺市中区」の続きの作業である、外壁工事の作業について今回はご紹介します。
外壁を見たところ、過去に修繕工事された形跡はありません。
現地調査の結果、屋上の防水機能が落ちているのと外壁の劣化が原因で雨漏りが発生しており、タイル面の外壁目地部やサッシ廻り部のシーリングややり替え、ALC(軽量気泡コンクリート建材)面の破損部の補修やシーリング処理などを行いました。
今回の工事では足場を使っていますが、足場や弊社ではなくご依頼いただいた工務店さんがご用意されたものです。
そのため、弊社の費用に足場代は含まれていません。
現地調査でタイルが浮いている部分が多数あり、弊社ヤマナミでは注入や破損部の貼り換え作業までを行いましたが、タイル部分は最終的にタイルの専門業者にお任せします。
今回は、タイルの専門業者にバトンタッチするまでに弊社で行った外壁工事について解説します。
1.2ALC面破損部の「はつり」
まずは、ビル外壁で剥がれかけているALC部分をはつります。
「はつり」とは、削ったり取り除いたりすることです。
ALCは劣化が進むと浮いてくるので、目視で探すことができます。
今回のビルは上の画像のようにALCパネルの割れが多く、多数の箇所ではつりを実施しました。
上の画像もALCで破損している部分です。
今回のビルの外壁では、縦横の目地が集まる部分に破損部分が多くありました。
2.ALC面はつり部にプライマー材塗布
劣化したALCをはつった部分に、プライマー材を塗布します。
もちろん、ALCをはつった部分全てに行います。
3.ALC面破損部樹脂モルタル成形処理
ALCをはつってプライマーを塗布した部分に、樹脂モルタルで成形処理を行います。
上の画像のように、樹脂モルタルで凹凸を埋めて平らに仕上げます。
上の画像も樹脂モルタルで仕上げまで終わった状態です。
4.ALCサッシ廻り部既存シーリング撤去
サッシ廻りの既存シーリングを撤去します。
シーリングはサッシの四方全部にあり、すべて撤去しなければなりません。
今回はビルなので窓は20~30枚あり、すべてのサッシの四方にあるシーリングを撤去しました。
5.ALC面サッシ廻り部プライマー材塗布
サッシ廻りのシーリングがすべて撤去できたので、四方にプライマー材を塗布していきます。
サッシは細いので、画像のように小さいハケを使い丁寧に塗布します。
6.ALC面サッシ廻り部シーリング材充填
ALCのサッシ廻りにプライマーを塗布したら、シーリング材を充填していきます。
シーリング材はALCの目地にもシーリング材を充填します。
目地部分は既存のシーリングを撤去せず、上から重ねる「増し打ち」という工法で対応しました。
7.ALC面サッシ廻り部シーリング仕上がり
上の画像もALC面のサッシ廻りをシーリングしているところですが、水切りの上の部分なのでシーリング材の色を変えています。
この部分は塗装せずシーリング材の色がむき出しになるので、サッシの色に合わせる必要があります。
8.タイル面目地部既存シーリング撤去
ALC面の補修が終わったので、次はタイル面です。
タイル面は既存のシーリングを撤去して、プライマーを塗布します。
9. タイル面目地部シーリング仕上げ
タイル面目地に新しいシーリングを塗布します。
上の画像のように、目地部分に綺麗にシーリング材を塗布できました。
10. タイル面浮き部マーキング
タイルが浮いている部分にマーキング(印)を付けていきます。
タイルの浮きや劣化を放置すると、剥落(はくらく)するので対処が必要な場所です。
タイルや下地の割れ・浮きは、一見するとわかりにくいものですが、プロが見ればわかります。
少しの浮きは問題ない、と思われるオーナー様は多いものですが、実際のところ少しの浮きで今回のような雨漏りは発生してしまいます。
弊社では、まずプロが双眼鏡で目視を行います。
今回は下地の状態も確認するために、コンクリートの強度を非破壊検査する「テストハンマー」も使いました。
上の画像のようにマーキング部分にはそれぞれ番号を付け、図面に破損場所を記載して浮きや割れ具合といった状況をメモします。
メモは、この後対応するタイルの専門業者さんと情報を共有するためのものです。
タイル部分は補修で対応できる部分は弊社ヤマナミで対応しますが、タイルの破損などで張替が必要な個所は、タイルの専門業者さんが実施します。(ここから先は、弊社で対応した部分のみ解説しています。)
11. タイル面浮き部穴あけ
タイルが浮いている部分に、ドリルで目地穴をあけます。
穴をあける間隔はタイル4枚につき1枚程度で、タイルと下地のALCの間に入るくらいの「3センチ程度」の深さです。
12. タイル面注入口ブロアー処理
タイルの目地穴をあけた部分に、ブロアー処理を行います。
これは穴をあけた時のカスを取り除くことが目的です。
13. タイル面浮き部注入
タイル面の浮いている部分に、エポキシ樹脂の注入材を注入します。
14. タイル面注入口ステンレスピン挿入
エポキシ樹脂を注入したら、穴にステンレスピンを挿入します。
時間が経ってエポキシ樹脂とステンレスピンがくっつくことで、タイルと躯体がずれ落ちません。
上の画像は作業途中なのでステンレスピンの頭が出ていますが、最後は穴に入りきる長さになっています。
15.タイル面注入口目地セメント処理
目地セメントで穴をふさぎ、きれいに整えて完了です。
上の画像のように、完成後はステンレスのピンもきちんと収まっています。
16.タイル面のマーキング・補修
タイルの専門業者さんに張替が必要な部分を伝えるための、マーキングをしている様子です。
上の画像のように、タイル自体の張替が必要な部分にマーキングをしてタイルの専門業者さんに実施してもらいます。
タイル面のマーキングを横から見た画像です。
マーキング部分に記載した番号はメモに書き出し、タイルの専門業者さんと共有します。
タイル面のマーキングを下から見た画像です。
こちらにもタイル面をマーキングして番号を振りました。
タイル面のマーキング部分を引きで見た状態です。
この後は、タイルの補修が必要な部分をタイルの専門業者さんが仕上げます。
ALC部分は塗装され、綺麗に仕上がります。
弊社ヤマナミの施行は、ここで完了です。
まとめ
工事の結果、雨漏りは無事に直りました。
今回のビルはタイルの割れが多く発生していましたが、これは構造的な問題があったためです。
下地に使われていたALCはコンクリートの一種で、建物の揺れに合わせて動く性質を持つ「アスロック(押出成形板)」という素材でした。
その表面にタイルが貼られていましたが、動きに追従させるための目地の量が少なく、結果として多くの割れが発生していました。
タイル自体は強く耐久性が高い素材ですが、目地材の劣化で剥がれたり動きに合わせきれずに割れたりといったリスクはあります。
外壁のALCやタイルが剥がれ落ちるケースは実際にあり、下にいる歩行者に当たるリスクも考えると大変危険です。
タイル=メンテナンス不要と思われがちですが、長い間メンテナンスをしていないなら、一度プロに見てもらうことをおすすめします。