施工事例
works
老朽化した階段室の壁から雨漏りによる漏水 大阪市中央区Bビル
2016.06.29
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室内の漏水をそろそろ止めよう
今回、大阪市中央区にある、築年数40~50年程のRC造7階建てのBビルの壁の補修および、漏水止め工事の事例です。
こちらのビルは実は6年程前から見させていただいており、以前は雨漏りをしていてお呼びいただきました。一時は止まったものの、建物の老朽化には抗えないので、全く違う場所からの雨漏りにより漏水をしていました。
今回の階段室の漏水に関しても実は以前からしていたものの、中でしか漏れていないという事もあり、お客様も「中だしね~しばらく様子見るよ」と長い間放置していたのですが、調査に伺った際に打音検査をしてみると、以前に調査をしたときよりもコンクリートの打ち継ぎ部分のクラックが広がっていました。
さすがにこのまま放置していくと、ビルを利用している方にも印象が良くないだろうな…と思ったので、「そろそろ、階段室の漏水を止めませんか?」とご提案をさせていただきました。
階段室の漏水を壁の中から止める
漏水を止める場合、一般的には塗装やシーリングを行って、表面から漏れださないように止める事をよく見ていらっしゃるかもしれませんが、今回は壁の中から止めるように漏水工事を行いました。
具体的には、エポキシ樹脂を注射器で壁の中にゆっくりと流し込み、クラックを補修すると共にゆっくりとクラックの奥に浸透させて、隙間を埋めていく作業です。
こうやって壁の中のクラックまで埋めてしまい、漏水を中から止めるのです。
なぜクラックを埋めるのにエポキシ樹脂なのか?
これにはエポキシ樹脂が持っている高い耐水性、耐薬品性、耐食性と高い接着性能を活かしてクラックの隙間がこれ以上広がらないようにしてくれる効果が期待できるからです。
特に経年劣化してきたコンクリートは、本来アルカリ性のところ、漏水などによって酸性に変わってきます。
このような成分が変わっても、高い耐食性を維持できるのは、耐薬品性を持っているからです。
実際に、エポキシ樹脂は高い耐久性が必要とされる車や船などにも良く利用されますし、高い絶縁性を持っている事から、電子機器などの基盤にも利用されています。
エポキシ樹脂は非常に高性能の樹脂なので、こういったしっかりとした補修を行う場合に必要不可欠な材料なのです。
注射器でゆっくりとクラックの奥まで埋める
よくある漏水工事にはシーリングやと塗装を用いますが、実際のところ表面に膜を作ったり、揺れなどに対する追従性により表面のクラックなどを防ぐ事が主な役割となります。
しかし、今回の場合は、本当に深い場所からの漏水の可能性もあり、建物の築年数や構造から考えても、表面上の対策を行うのは得策じゃありません。
その為、クラックの奥まで硬化するのが遅めのエポキシ樹脂を注射器で注入していきます。
注入は人間の手でするのではなく、特別に調整されたゴムを注射器に取付けて、機械的にゆっくりと注入してくれるようにしています。
この様に注射器を差し込んでから、翌日には注入が終わっているので、その後で座金と共に注射器を取り外してから、壁の表面の補修を行います。
実際にクラックの奥の奥まで、エポキシ樹脂が注入されると、材料自体の持っている揺れやクラックに対する追従性から、クラックの広がりを抑えてくれます。
基本情報
- 費用
- 約15万円
- 工期
- 4日間
施工内容
- 打音検査
- クラックのある部分の壁表面捲り
- シーリング補修の上に座金をセット
- エポキシ樹脂用の注射器をセット
- 1日かけて注入
- 注射器を外して樹脂モルタルで仕上げ
エポキシ注入による漏水工事の工程
怪しい箇所を全て打音検査を行います。
このサビ色とまわりのサビは、漏水により出ている症状です。
窓枠のまわりもクラックの有る可能性があるので、打音検査で確かめています。
補修をする事が決まった段階で、補修をする場所の表面をハツっていきます。
クラックにシーリング補修を行って、注射器を挿す為の座金をシーリングに貼りつけしました。
座金に注射器を設置した状態です。
注射器に輪ゴムを設置して、エポキシ樹脂の注入開始しました。
エポキシ樹脂を注入完了後に樹脂モルタルで仕上げを行いました。
他の補修完了箇所です。クラックの大きさによって、樹脂モルタル仕上げの量が変わっています。
これもまた別の補修完了箇所です。
階段室の漏水工事を終えてヤマナミから一言
今築年数40~50年程前のビルというのは、コンクリートの打ち継ぎ目地のところが離れたり、クラックが出来たりしやすいという事もあり、これ以上クラックが広がる恐れがあるのでそれを止める為に、補修を行いました。
ただ、そもそもの建物の老朽化を止める術はないので、いずれは更に大規模な修繕工事が必要になるかもしれません。
とはいっても、ビルの漏水は止めなければ構造上の耐力低下にもつながる恐れがあるので、漏水箇所の場所や原因、下地の材料などの特性を考えて、漏水止め工事を行う必要があります。